2017年 05月 09日
さてさて、久しぶりの更新です。 今回はシェルパというか、バイク全般に関わるネタです。 以前、レギュレータについて興味が湧いていろいろと調べてみたものをざっくりまとめました。 バイクのレギュレータは新電元という会社の製品が圧倒的シェアを誇っています。 レギュレータの能力については、実のところ情報が少ないので気にしている人は少ないとおもうのですが・・・。 スペック不明なのも多々あります。電源周りの見直しとかにドゾー。 同じ型番(能力)のレギュレータでも、車種によってはコネクタが直づけだったり、リード線が出ているタイプだったり、コネクタが違ったり、ピンアサインが違うかもです。 ※シェルパのレギュレータ関係は下の方にあります 絶対入力定格:200V 出力定格電圧:14.1~14.9V 能力値の条件は通風状態(1m/s)だったはず。 SH232-12:18A GL1000 SH235-12:15A SR500,RD400 SH530-12:20A KLX250SR(1993~1997),KLX250ES,KLX250(1998~2007),Z750 (SH530-12Kも同じ性能) SH532-12:35A NS250R,NS400R,CBX250 SH532B-12:35A TRX300 SH541-12:25A VF750/1000 SH541-12C:25A GL1000 SH548-12:27A GPZ750, KDX220SR, KLR650 SH561-12:?A KL250R SH569A-12:25A TDM850-1, XTZ750, TW200, トリッカー初期 (ヤマハ型番47X-81960-A3) SH572-12:16A CBR250RR(MC18),GSX250R SH572A-12:16A NSR250(MC16) SH572C-12:16A GSX250SSM SH572E-12:15A DR800,DRZ400E,ハヤブサ,アドレスV125 K9以降 SH572F-12:16A FXR150 SH579A-11:35A? VFR800 SH579B-11:35A CBR900, CBR600 SH629A-12:10Aか25A TDM850-2, XT225(4JG), セロー250キャブ, TT600R, XT250 SH629B-11:25A シェルパ, DT125R (台湾ヤマハのマジェ125用はSH629B-11だが新電元の技術提携先(台湾メーカ)が製造) SH640D-12:20A マジェスティ250 SH640E-12:14A セロー250FI, シグナスX, YFM350 SH650-12:18A GPX600,KLX250(2008~2016) SH650A-12:18A YZF-R1, TMAX500, ゼファー750 SH650C-11:18A FZ1 SH650D-11:35A XVS1100 SH678A-12:35A DL1000 SH678B:35A CBR1000RR(2008) SH719AA:25A TMAX500(後期?) ,FZ6 SH775:35A CBR1000RR(2005)? FH001:35A TDM900,YZF-R1(2002) FH008EB:40A CBR1000RR(2008) FH010AA:50A FH010BA:50A FH011AA:50A YZF-R1(2004-2006) FH012AA:50A YZF-R1(2007) FH012AB:50A 1400GTR FH014AA:50A CBR1000RR(2008) ※同じ系列名でも末尾番号で性能が大きく異なるので注意。特にSH629A-12。 サービスマニュアルによって電流容量表記が違うwどっちなんだよw (多分、SMの誤植。番号と性能の関係性から25Aと思われる) 知人から情報を分けてもらったので追記。 Mos-FETレギュレータ 出力電圧の安定度は抜群で非常に扱いやすいようです。 FH020AA 50A GSX1000S用 スズキ品番 32800-26J00 FH022AA 35A KTM1290用 KTM品番 603 1103 4000 FH022BA 35A バーグマン400用 スズキ品番 32800-19K02 コネクター:配線コムのHX187-5P 35AのFH022はGSX-S750でも採用しているようです。 スズキ品番 32800-19K01、13,200円 サイズも容量もこっちがベストなんですが、車両側コネクタが5極の特殊なやつで、 住友コネクタが入手困難との事でした。 ★注意事項 同じレギュレータ型名でも車両によって配線・コネクタが大きく異なります。 同じ型名だからといって、他車種の流用は難しい可能性が高いので注意です ◆おまけ (輸出車のサービスマニュアルより抜粋) ・DT175?(輸出専用) ジェネレータ:15A 14V/7000回転(210W) ・TT600R ジェネレータ:13.5 A 14.0V/5000回転 (189W) TLMZ48 日本電装 レギュレータ:25A 14.5V (SH629A-12) ・XT250 ジェネレータ:13.6A 14.0V/5000回転(190W) レギュレータ:10A 14.5V(SH629A-12) SH629A-12は10Aなのか25Aなのか・・・どっちなんだよ・・・ ジェネレータの能力よりレギュレータの能力が低い、というのは考えにくいので おそらく25Aが正解? ・XTZ750 ジェネレータ:25A 14V/5000回転 (350W) TLNZ29 日本電装 レギュレータ:25A 14.8V (SH569) ◆シェルパのレギュレータ・ジェネレータ ◆レギュレータ シェルパに使われているSH629B-11ですが、最近ヤフオクなどで同じ型名で販売しているものが存在します。 シェルパ用カワサキ純正(新電元 正規品): マジェスティ125(台湾)用ヤマハ純正(提携会社 生産品): ここで提携生産品、と呼称している製品は新電元のロゴマークが無かったり、フィン形状が異なったりするので気になります。型名の印刷も斜めで、日本製ではなく台湾生産です。 ちなみにマジェスティ用の物は圧倒的に安価(国内ルートで7千円弱、台湾直送なら3千円弱)です。 で、この案件、どうしても気になるので新電元(株)に問い合わせしまして確認しました!(2019-4) 新電元(株) 電装営業部様、大変お忙しいところ回答いただきありがとうございました! 台湾ヤマハが使用しているSH629B-11ですが、新電元(株)の技術契約先が製造し台湾ヤマハに納入しているとの事でした。 つまり、正規のライセンス生産品という事で技術的にそれなりに担保されているようです。電気的性能や耐久性等については、ウチでも検証試験をしてないので何とも言えませんが。 正規国内生産品を使うか、技術的には担保されているライセンス生産品を使うかはアナタ次第、という事です。 ・・・と、いう話をしていたら、どうもそれ以外にもSH629B-11が存在する、という話が持ち上がってきました。 これも気になったので早速調査。 どうやら、台湾生産のマジェスティ125用ではなく、中国生産の車両に対して使われている中国産の製品があるようです。 ですが、パッケージをコピーした粗悪な不正品が存在するという話を耳にしましたので、さらに調査。 ありました。 一見、ヤマハの純正品に見えますが、注目すべきは部品番号です。 ヤマハの部品番号は基本的に 機種コード(3桁) - 部品番号(5桁) - 補助番号(2桁) の組み合わせです。 ところが、この部品番号はこのフォーマットに適合しません。また、数量を示す1PCの表記もありません。ヤマハのロゴも何となく汚いし。 間違いなく偽造パッケージ品です。 動作すればいいじゃん?と思ったそこのアナタ。 正規品と中国生産品を見比べてみましょう。 まぁ、外観では大きな違いが見いだせません。で、問題なのは入出力コネクタです 上側の国内正規品に比べて、下側の中国生産品はコネクタコンタクトの板厚が薄いのがわかるでしょうか? これが大問題です。 このレギュレータ入出力コネクタは200W以上の電力を入出力する端子ですので、必然的に大きな電流が流れます。 コネクタの勘合はレギュレータ側のピンと、それをくわえ込むように接続されるハーネス側のコンタクトで成り立っていますので、このレギュレータ側ピンの板厚が薄いと、ハーネス側のコンタクトがレギュレータ側のピンを『掴む』力が足りなくなり設計時に想定された通りの接触が行えない可能性があります。 この接触が不安定になると何が起こるか?いわゆる『接触不良』です。 接触不良が発生すると、コネクタのコンタクト間に抵抗Rが発生して、そこに流れる電流Iにより電圧Eが立ちます。オームの法則ですね。 E=I×R(V) 先に書いた通り、ここは電流が大きく流れる場所ですから、発生する電圧は電流に比例して大きくなります。言い換えれば、抵抗Rによって電力Pが消費されます。 P=I×E(W) 消費された電力はどうなるのか?これは全て熱に変換されます。 この熱によってコネクタが溶けたり、最悪の場合に車両火災に発展する可能性があります。 この中国産レギュレータも、台湾の事例を見る限り新電元の技術契約先が生産しているかも知れません。 が、このような状況があるので、運用には十分に注意が必要と思われます。 なお、台湾生産品についてはコネクタの画像が見つけられませんでしたので現時点では何とも言えない状況です。 ◆ジェネレータ スーパーシェルパのジェネレータですが、まず結論から申し上げますと車両の装備状況、時期からして、2000年代のKLX250と同じ16A/14V@5000rpmのジェネレータが採用されていると考えられます。 ・1994年式 KLX250SR用(ヘッドライト35W) 14.5A/14V@6000rpm(200W) ・2010年頃 KLX250S キャブ (北米仕様車 T9F,W9Fマニュアルより) 16A/14V@5000rpm(224W) ・インジェクション型 KLX250用 17.4A/14V@5000rpm(240W) これを少し掘り下げると、同じ1994年式のKLXでも KLX250SR:セルなし、ライト35W KLX250ES:セル付き、ライト60W の2モデルでレギュレータは同じですが、基本構成が同じはずのエンジンなのにジェネレータコイルの部品番号が異なります。 この調査結果から、シェルパの電気回路要件を考慮するとSR系ではなくES系と同じような電力要求があるはずなので、SRより大型のはず。上でも書きましたが、ノーマークになったKLX250(キャブ)のモデルと同等のジェネレータが搭載されているのではないか?という事が考えられます。 この考察が正しければ、 車体の設計レベルで取り出せる電力:224W 灯火類の消費電力(最大):106W (ハイビーム60W+前ウインカ10W+後ウインカ10W+ブレーキ灯21W+尾灯5W) その他に想定される電力:14W (最大1A程度を想定) 走行時の余剰電力:104W という事になりそうです。 あとはハーネスの設計許容電流が16A(224W)に耐えうる値になっているかどうかですね。 ちなみに後付で電装機器を組み付ける際ですが、メインハーネスを加工すると、トラブルになった時に全交換、とか大変な事になるので、尾灯(ブレーキではなく尾灯の方)のルートで、メインハーネスのコネクタから尾灯に行くまでの区間を加工(エーモンの分岐タップは振動等により元配線の断線や接触不良(=発熱)等トラブルの元になるので非推奨。ギボシ+適正な圧着工具による増設を推奨)してメインハーネス沿いに保護チューブ等を用いて必要な場所まで引き回すのが良いです。 配線ルート上でシートの脱着等により電線を挟まないように十分注意した配線ルートを検討しましょう(配線の短絡による故障、車両火災の原因になります。ヒューズは必ず、挿入、可能な限り分岐場所に近い場所に入れましょう) また、消費電力の大きいものは、このルートを使わずに適正な方法を検討しましょう。 自分で分からない場合は適当な施工をせず、電装系を十分に理解している(ここ重要)バイク屋に相談しましょう。 もちろん当店にご相談頂ければ、担当の電気技師(とある装置メーカ現役の電気設計技師)が対応致します。 ※2019-2 情報の大幅更新。アイテム数を増やしました。また、KLXの対応年式を追記。 2019-4 SH629A-12に関する記述を修正。で、結局10Aか25Aかどっちなんだ?(たぶん25A) 途中にある画像は適当に拾った物を使っています。サーセンw
by nossi_ck
| 2017-05-09 16:48
| 整備・改造
|
Comments(8)
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Shishi-Maru
at 2019-05-09 07:51
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レギュレーターのデーターの情報提供ありがとうございます。
非常に参考になりました。 私は、カブ110に乗っていてボアアップ→軽二輪登録しています。 先日ロングツーリング中にレギュレーターが溶け、壊れてしまい、全波整流化もしていたので動けなくなりました。そのためレギュレーターを強化しようと考えていたので非常に参考になりました。 差し支えなければどうやってこれらのデーターをお調べになったのかお教え願えればと思います。
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nossi_ck at 2019-05-09 10:36
> Shishi-Maruさん
データがお役に立ったようで何よりです。 データ類を完全に生かすには、本当はピンアサインのデータもセットであった方が良いのですが、これは手間が大きすぎて調べ切れていません。 データはサービスマニュアルに記載されているものや、海外サイトに点在するデータを集めて掲載しています。 レギュレータが溶けた、との事ですが、全波整流化はレギュレートレクチファイヤ手前の段階で全波整流をした上でレギュレータに入力していたのでしょうか? 仮にその場合は、本来半波整流では時間あたり50%の電流は流さず止めるだけでしたので、その分の電圧制限した熱量は発生せず、電流を流している時に発生する熱量を排出すれば間に合う設計になっているはずです。 全波整流にした場合には100%の電流を流す状態になって時間あたりの熱量が倍になるため放熱が追いつかずに損傷したものと考えられます。 ちなみに発生する熱量に対してよく冷えるように風通しの良い場所に移設・・・というのはほぼ効果がない(放熱量がせいぜい10%増)とお考え下さい。大切なのは放熱面積です。
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sero
at 2020-08-17 13:34
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キャブセロー250に乗っています。
新電元のことまで調べて頂いている、こちらの情報のおかげで、台湾ヤマハレギュレータを使用して無事充電不良が治りました。 15000円が3500円で済んで大助かりです。 ありがとうございました!
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nossi_ck at 2020-08-19 14:03
seroさん、VT250Fに乗っておりまして、レギュレーターの故障は鬼門になっており、調査している内に同じ問題に出くわした次第です。大変参考になりました。ありがとうございました。
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nossi_ck at 2022-01-20 09:22
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FZ400
at 2022-05-31 23:41
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レギュレーターが最近熱を持つと不安定になり交換を考えていました。純正が高価なのでどうせならMOSFETにしようと調べていたらこちらにたどり着きました。
非常に参考になりましたありがとうございます!!
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nossi_ck at 2022-06-09 00:02
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