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スーパーシェルパと怪しい仲間達

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2010年 02月 20日

シェルパのフロントフォーク・オーバーホール

先日、シェルパのフロントフォークのO/Hを実施しました。
中途半端に記録を取ったので、アップします。


必要な部品は以下の通り。名称/部品番号/単価/数量

☆オイルが漏れで修理する時に必要になる部品
・ダストシール
シ-ル,フオ-ク アウタ チユ-ブ 92093-1439 ¥682 ×2個
・オイルシール
シ-ル(オイル),フオ-ク アウタ チユ-ブ 92049-1470 ¥792 ×2個
・ボトムのロッド固定ボルト用ガスケット
ガスケツト 44045-057 ¥209 ×2個
・フォークオイルG10
G10 フォークオイル 1L J44091-0002 ¥1620 ×1本
※フォーク1本あたりのオイル量は約360mL、インナーチューブ上端から150mm±2mmにセット

☆内部の消耗部品(スライドメタル)も交換する場合
・スライダーその1
ブツシング 92028-1656 ¥671 ×2個
・スライダーその2
ピストン(フオ-ク) 44018-1058 ¥968 ×2個

☆劣化している事があるので必要に応じて交換
・スナップリング(オイルシールを止めている部品)
リング(スナツプ),フオ-ク オイル シ-ル 92033-1100 ¥528 ×2個
・トップキャップのO-リング
リング(0) 92055-1051 ¥209 ×2個


また、無いと作業ができない特殊工具は
・ロッドの回り止め
・オイルシールドライバ

あった方が望ましいのは
・オイル量調整用の特殊工具
・500mLくらいのメスシリンダ

です



シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_9441738.jpg

まず、Fフェンダーとか、ライトカウルとか、不要なものは外してしまいます。

シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_9443028.jpg

そして、ハンドルクランプを外してハンドルを邪魔にならないように移動します。

この段階で、ヤマグチさんやkazさんの仰る通り、トッププラグとボトムのボルトも緩めておくと、後の作業が少し楽になります。

まず、フォークに荷重がかかる状態にしてボトムのボルトを緩めます。緩めるだけです。
外してしまうとオイルをブチまける事になってしまいます。
次に、フォークを固定している三つ又のクランプのうち、上段だけを緩めてからトッププラグを緩めます(写真2)

ここまでくれば一安心。
シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_9443978.jpg

もうタイヤを外してフォークの引き抜き準備に入ります。


しかーし、引き抜く前にまだやる事があります。
シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_9464961.jpg

フォークについているキャリパーだのケーブル類も今のうちに外してやります。

シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_9472888.jpg

シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_9474426.jpg

ここまで出来たら、三つ又の下段も緩めてフォークを引っこ抜いてしまいましょう。

引き抜いたらフォークブーツを外して、外観の清掃をすると吉。
続いて先ほど緩めたトッププラグを外します。
大きな力ではないですが、フォークスプリングで常に押されているので、外れた瞬間にトッププラグとワッシャが飛んで行かないように注意します。

無事にトッププラグが外れたら、スプリングを引き抜きます。
この作業あたりから、フォークオイルがそこら中にボタボタ垂れるので、垂れても大丈夫なように対策しましょう。タイル張りの屋内で作業すると、滑って転倒しそうになる危険があるので注意が必要です(笑)

スプリングを引き抜いたら自由長を確認します。確か562~555mmくらいの範囲だとOKなハズ。詳しくはサービスマニュアルを見ましょう(笑)


シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_9483984.jpg

いよいよフォークオイルを抜いてやります。
用意したバットとかにダバーっと入れてやります。
フォークを伸縮してあちこちに入っているオイルも追い出してやりましょう。

オイルが一通り抜けたら、いよいよ分解します。

シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_9484865.jpg

最初にダストシールを押さえているクリップリング(中央写真)を外してやります。
ウチは面倒だったのでマイナスドライバーで外しました。インナーチューブにキズを付けないように細心の注意を払いましょう。クリップの端を見つけて解除してやると簡単に外れます。

次に、ボトムのボルトを緩めます。
シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_9485821.jpg

ここで中のロッドを押さえる特殊工具出動です。
先端に対辺22mmのナットが溶接されているもので、チューブ内にあるロッドの6角(というか12角)穴に差し込んで回り止めをしてやります。
これで、ボトムのボルトを外してやります。ボルトと一緒に銅のガスケットも確実に外して破棄しましょう。

ダンパーロッドの回り止めの特殊工具ですが、バイクによって6角の対辺が違ったりします。
汎用で使える四角錐の差し込みタイプのものも存在します。
Tレンチやエクステンションロッドの先端に付けて使うタイプのものです。
しかし、緩め・締め付け共に作業性が非常に良くないので6角型のものが推奨です。
シェルパの専用工具(大きさが合えば他車種にも)として、近日中に特殊工具を
販売開始予定です。(2019-3現在の予定)

これでインナーチューブを引き抜く準備が完了です。

シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_951790.jpg

いよいよインナーチューブの引き抜きです。
これは、アウターを押さえてインナーチューブが当たって止まる所まで何度か引っ張ります。
数回、ガン!ガン!とやると、徐々にシールが出てきて最後にすっぽ抜けます。


シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_9511513.jpg

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◆重要◆
引き抜いたら、各部品の方向(ワッシャならどちらがR面になっているかとか、ボトムのスリーブの方向とか)をしっかり確認して記録しておくと、組みたてる時に悩むことがなくなります。

シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_9541740.jpg

シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_9543631.jpg

これらの記録が終わったら、各部品を外して洗浄します。
細長い洗浄槽が欲しくなるくらいですが、根気よく洗浄しましょう。
※インナーチューブの先端(下側)は2重構造になっているので、先端付近になる穴に洗浄液を入れて、古いオイルや汚れを除去してやる必要があります。また洗浄液を乾燥させるのにも構造上、しっかりと行う必要性があります。

シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_9542783.jpg

洗浄が終わったら、新しい部品を準備します。
オイルシールとダストシールは方向性があるので注意が必要です。
この整備をやった時点では、両方のシールに白いマーキングがしてあって、これらの面が合わさるようにすると方向が合うようになっていました。
シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_1153630.jpg


ここまで来たら、フォークオイルを少量だけ小さい容器(スプレーのキャップとかでもOK)に入れて用意しておきましょう。
また、部品が入っていた袋はシール類の組み付けで使うので、捨てないでおきます。
ブッシングの入っていた小さい袋があると最高です。捨ててしまっても大丈夫、コンビニ袋でもokです。

洗浄した部品と新品の部品を組み合わせて準備を進めます。このとき、各部品には組み付ける前にフォークオイルを少量塗布してから組み付けます。

※この辺りから作業が忙しくなって全然写真を撮ってませんw
 なので、ここからは後日作業した写真にて説明します。

インナーチューブにシール類を組み付ける際には、チューブの先端に先ほどのブッシングの袋を被せてシールにはラバーグリスorフォークオイルを付けて滑りを良くします。
これをやらないと、シールのリップにキズを付けてしまう事があってオイルシールの機能が失われてしまいます。

シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_113845.jpg

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組み付けが完了したら、インナーチューブにブッシングやインナーロッドを組み付けます。
先端のスリーブの組み忘れ&方向に気をつけましょう。太くなっている方が下側です。
シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_1202329.jpg

部品組み付け時は、フォークオイルの塗布をお忘れ無く!

一通りの部品を組み付けたら、いよいよアウターチューブに組み込みます。
最初に水平のまま(下に向けるとスリーブが落ちてしまいます)アウターチューブに入れて、ボトムの
ロッド固定ボルトのワッシャを新品にしつつ仮組立しておきます。

そしてオイルシールをオイルシールドライバで圧入していきます。この際、インナーチューブを傷つけないように注意しましょう。
シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_1141749.jpg

オイルシールが完全に奥まで入ったら、ダストシールを入れてやります。これは簡単に入ります。
ダストシールを一番奥まで入れたら、クリップの溝が見えているはずなので、クリップリングを入れてやります。アウターチューブの溝にリングが入らないようでしたら、オイルシールが奥まで入っていない証拠です。ダストシールを外してオイルシールの圧入をやり直し or ダストシールごと叩き込みましょう。

ここまで組上がったら、ボトムのボルトを締め付けます。ボルトにはネジロックを塗布して組み付けます。このときも例のロッドを押さえる特殊工具が出動します。

これで、オイルを入れる準備が整った状態です。

フォークは車体に組み付けてからオイルを入れても良いですし、バラの状態でオイルを入れても問題ありません。

この、スプリングが入っていない状態でフォークオイルを360mL程度入れてやります。
計測用具にもよりますが、標準では347mLとなっていますが360mL程度フォークオイルを入れてやります。
オイルを入れたら、サスをゆっくり伸縮させてオイルを各部に回してやり『ジュジュ』という音がしなくなるまで繰り返します。
音がしなくなったら、一休みしたのちフォークを目一杯縮めた状態にしてやります。

この縮めた状態でインナーチューブの上端から150mm±2mmの位置に油面が来るようにオイルを抜いてやります。ここは専用のオイル調整器具があると作業が速いです。
オイル足りない場合は足してやります。
シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_1285526.jpg

オイルを入れ終わったら、フォークスプリングを入れてワッシャとトッププラグを組み付けます。
トッププラグのO-リングも組み付け時にはオイルを塗布しましょう。また、トッププラグのネジにもフォークオイルを塗布してやります。
この部品の組み付けは慎重に行わないとネジ山を破損するおそれがあるので十分な注意が必要です。

組立が終わったら、バラでフォーク組立をした場合は車体にフォークを組み付けます。
標準ではインナーチューブ(トッププラグではなくインナーチューブトップ)が上側クランプ(トップブリッジ)の上面と同じ高さにしてやる設定です。その位置に合わせたら下段のクランプ(三つ叉)を固定してやります。
この作業が終わったら、上段のクランプのボルトを締め付けてやります。
なお、ボルトは交互に締め付けを行い、両方のボルトが均等に締まるように注意します。
(片側を締め込んで反対側を締めると、先に締めたボルトが弛みます)

シェルパのフロントフォーク・オーバーホール_c0212385_9545737.jpg


後は、外した部品を元通りに戻して完成!!です。

今回、ここで出てきた特殊工具は以下の通りです。
・フォークシールドライバー
http://www.straight.co.jp/item/19-8701/
・フォークオイルレベルゲージ
http://www.straight.co.jp/item/19-8704/
・ダンパーロッド固定ソケット
※六角型のものが推奨です。
ストレート スピンドルツール 22/24mm
このツールは、ここのページにリンクのかかっていたサイトウさんのブログ USO400
に紹介されていました。勝手に抜いてきました。サーセンw
フォークオーバーホールが非常に見やすく紹介されていますので参考になると思います。
OHしない方も非常に美しい97年式を見る価値はあり!です。

※2017-03_記事修正:部品の区分を分かりやすく、見やすく。オイル量データが欲しい人向けに設定値を上部に記載


by nossi_ck | 2010-02-20 09:57 | 整備・改造 | Comments(8)
Commented by much_hp2 at 2010-02-23 00:25
自分も初めてのフォークOHはシェルパでした、
同じくオイル漏れを期にです。
Commented by nossi_ck at 2010-02-23 19:07
> much_hp2さん
道具があって、手順が分かれば思ったよりは難易度が低いですねー。
フォークの構造とオイル交換の手順なんかも理解できたので、次回からは
自分でイロイロ変更できそうです。


・・・・多分やらないけどw
Commented by nossi_ck at 2013-08-15 17:03
> titiさん
初めまして、このような更新をサボっているニッチなブログをご覧頂きありがとうございます。
さて、部品単価ですが、記事を書いた時の部品価格なので最新価格ではありません。最新の価格は
http://www.kawasaki-motors.com/for_users/partscatalog/
ここで部品番号を入力して確認する事ができます。
また、部品を購入して自分で作業をする場合は
http://www.webike.net/shopping/
のサイトで『純正部品』のボタンから通販にて購入する事ができます。

免許取得後3週間という事ですので、ご自分で、という事はリスキーですので、最初はバイク屋での修理などがよろしいかと思います。
また、titiさんの仲間内で車両整備に精通した方がいれば、個々の部品を購入したり、
ヤフオクなどでユニット単位の部品を入手して載せ替えという方法もあります。

公道を走る乗り物ですので、しっかりとした整備で安心して乗れる車両にするのがよろしいかと思います。
Commented by nossi_ck at 2013-08-16 12:12
>titiさん
よくよく見たらメールアドレスが記載されてましたので元の投稿を外しました。

以下、原文

突然のメール失礼いたします。
二輪の免許を取得し、3週間ばかりのひよっこです。
初バイクとしてシェルパに乗っていたのですが、雨の日に転倒してしまい、フォークから前輪にかけて修理が必要となってしまいました。
そこで、このHPにたどり着いたのですが、とてもためになる内容でした。
特に、パーツの単価が安い!!
もしよければ、どのようにするとこれほど安く手に入るか教えていただきたくメールしました。
Commented by tk at 2016-04-17 10:09 x
はじめまして
02年式スーパーシェルパに乗っているものです。
このブログは本当に本当に参考になることばかりです。

HONDAのパーツリストは、各カテゴリーの消耗部品がアッセンブリとしてパーツリストに載っているので、注文が非常に楽でした。

カワサキはそんなことしてくれないため、、、
このようなブログは非常にありがたいです。

これからも更新楽しみにしております。
Commented by nossi_ck at 2016-04-18 09:29
> tkさん
初めまして、サボり気味のブログ主です。
お役に立てたようで何よりです。
ココを見れば解決!というのを目指して頑張ります!
Commented by sh at 2019-11-19 22:45 x
いつも拝見しております。
2001年式のシェルパに乗っています。
シェルパは情報が少なく整備の際にはお世話になっております。

私のシェルパもフロントフォークのOHを行おうと考えています。そこでこのブログ記事に記載されていた交換部品を確認していたのですが、
>・ボトムのロッド固定ボルト用ガスケット
>ガスケツト 44045-0572 ¥189 ×2個
のガスケットのパーツ番号は「44045-0572」ではなく「44045-057(旧番号11009-1325)」のようです。

時間がありましたら、細かい指摘ですが確認をお願いいたします。
Commented by nossi_ck at 2019-11-20 18:38
> shさん
ご指摘ありがとうございます。
他のシール類の番号もおかしくなっていました。
どうやら、数量の数値が入り込んでいたようです。


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